【FINAL DAY 2 総評】今季の日本一が決定…男子は UTSUNOMIYA BREX が 3 連覇、女子は boldiiies が初優勝を飾る
2024年2月19日
当協会(JBA)が主催する「第 9 回 3×3 日本選手権大会 ファイナル」が 2 月18日 (日) に大森ベルポート (東京都品川区) で、最終日を迎えました。DAY 2 となったこの日は男女の準決勝と決勝が行われ、男子は UTSUNOMIYA BREX (栃木) が 3 年連続 3 回目の優勝を飾り、女子は boldiiies (千葉) が初優勝しました。激闘の模様を振り返ります。
日本一を決めるにふさわしい好ゲームに
どこが勝っても初優勝という中、女子の準決勝が始まりました。第 1 試合では YOKOHAMA GFLOW (神奈川) と、FLOWLISH GUNMA (群馬) が対戦。3 人で戦う FLOWLISH GUNMA がリードを奪いますが、YOKOHAMA GFLOW は #8 井齊沙耶選手 (178㎝) らの得点で食らいつき、残り 1 分を切って #5 矢上若菜選手 (168㎝) が勝負強さを発揮。15-14 で逆転勝ちを呼び込みました。
(YOKOHAMA GFLOW #5 矢上若菜)
続く第 2 試合では、boldiiies (千葉) が OWLS (福島) を圧倒します。#3 浅羽麻子選手 (172㎝) を筆頭に、#25 桂葵選手 (182㎝)、#37 大橋実奈選手 (169㎝)、#12 アマ デグビオン選手 (188㎝) の 4 人が内外角から攻め込み、好連携も披露。繰り上げ出場から DAY 2 まで勝ち進んだ OWLS も反撃を試みますが、boldiiies が 21-8 で KO 勝利を収めました。
YOKOHAMA GFLOW と boldiiies の決勝は、日本一を決めるにふさわしい好ゲームになりました。まず先手を取ったのは、YOKOHAMA GFLOW です。国際大会の経験がある分、高さのある相手も苦にせず、#9 吉武忍選手 (170㎝) が起点となって前に出ます。ファウルも効果的に使い、矢上選手の 2 ポイントシュートが決まって 15-11。しかし、そのファウルが 7 個目を超えたのを機に、boldiiies は獲得したフリースローを桂選手や浅羽選手が着実に沈めて、終盤に逆転します。その後は相手の攻撃を振り切り、20-17 で嬉しいタイムアップを迎えました。
(boldiiies #12 アマ デグビオン)
仲間は「バスケを続けるモチベーションに」(浅羽)
大会 MVP には boldiiies の浅羽選手が選出されました。これまで過去 2 度、別のチームで日本選手権優勝を経験していますが、MVP は今回が初めて。今大会には「個人的に去年の決勝で逆転負けしたリベンジ」や「アマ (選手) が 1 度日本に来たとき (=3×3 JAPAN TOUR 2023 EXTREME Round.11)、決勝で GFLOW に負けたリベンジ」の思いがあったと言います。
そして、仲間の存在は欠かせませんでした。昨秋の「三井不動産 3×3 JAPAN TOUR 2023 FINAL」をともに制した桂選手、大橋選手、さらには 2 月初旬にフィリピン・マニラでの国際大会から再び一緒にプレーしたアマ選手と、試合を重ねるごとに連携を深め、「チームケミストリー」が良くなった末の優勝を喜びました。第 2 回大会 (2016年) から日本選手権に出場する浅羽選手は、こう続けました。
「私はもう結構、年も重ねているので、いつが最後の試合になるのかなという気持ちで毎試合プレーしています。ですが、その中でもっと上手くなろうと思わせてくれるチームメートと出会えて、バスケを続けるモチベーションになっています。そういうメンバーと戦えたことがとても嬉しいです」
(女子優勝:boldiiies)
一方で、今季限りでの活動休止を発表した YOKOHAMA GFLOW は惜しくも有終の美はなりませんでした。矢上選手は表彰式を終えて「悔しい気持ちが一番です」と話しましたが、一昨年の JAPAN TOUR FINAL を制するなど、活動した 2 シーズンは思い出深いものになりました。自由に、楽しくプレーする姿が印象的なチームでしたが「勝ちにこだわりを持ったチームでした。その中でしっかり勝ち負けを経験できたこと、世界大会も経験できたこと。みんなと濃い 2 年間を送れたと思います」と、締めくくりました。
UTSUNOMIYA BREX と ALPHAS の頂上決戦
男子トーナメントも準決勝第 1 試合から熱い試合が続きました。UTSUNOMIYA BREX と信州松本ダイナブラックス (長野) の一戦は、序盤から UTSUNOMIYA BREX が #2 斉藤諒馬選手 (193㎝) らの 2 ポイントシュートで、12-7 とリードします。しかし、初のベスト 4 入りで勢いに乗る信州松本も巻き返して、終盤には 14-13 まで猛追。それでもあと一歩及ばず、BREX が 18-17 で逃げ切りました。
そして、昨秋の JAPAN TOUR FINAL 決勝と同じ顔合わせになった ALPHAS (埼玉) と SCC WILDCATS (熊本) の第 2 試合も接戦でした。先に流れをつかんだのは ALPHAS でしたが、SCC WILDCATS も一時 16-15 と試合をひっくり返します。それでも、ALPHAS は相手のファウルが 7 個に達したのを機に、#91 落合知也選手 (195㎝) がフリースローを決めて再逆転。最後は #13 小澤崚選手 (178㎝) が 2 ポイントシュートを決めて 21-17 で準決勝を突破しました。
(ALPHAS #13 小澤崚)
迎えた決勝は、昨秋の JAPAN TOUR FINAL を制した ALPHAS がリードしましたが、UTSUNOMIYA BREX も #21 テオドール アタナソフ選手 (205㎝) の高さをいかして 9-11 と 2 点差で食らいつき、残り 3 分55秒で 2 度目の TV タイムアウトへ。その後、UTSUNOMIYA BREX が一気に流れを引き寄せました。#24 仲西佑起選手 (191㎝) の 2 ポイントシュートで 12-12 の同点に並ぶと、アタナソフ選手、#2 斉藤選手、#11 齊藤洋介選手 (184㎝) が立て続けに 2 ポイントシュートを射抜き、20-16 で 3 連覇にリーチをかけます。最後は、再び仲西選手が力強いドライブを決めて 21-17 で宿敵を下しました。
逆転劇へ「今必要なのはスキルじゃない」(齊藤)
大会 MVP には UTSUNOMIYA BREX のアタナソフ選手が初めて選出されました。ゴール下で激しいマークにさらされましたが、冷静さを失わず、懸命に戦った姿が印象的です。3×3 世界ランク 1 位のセルビアからやってきた27歳が殊勲の活躍を見せました。
そして、チームをまとめた #11 齊藤選手は表彰式で「今シーズンは ALPHAS がいろいろな大会を制覇して、去年までは僕らがその位置にいましたので (なかなか勝てずに) すごく悔しかった。ALPHAS がものすごく強いと重々承知していて、あまり言いたくないですけど、昨日今日は彼らを倒すことだけを考えてやってきました。勝ててすごく嬉しい」とコメント。さらに表彰式後、逆転劇を生み出すきっかけになった、2 度目の TV タイムアウトの様子を明かしました。
「あのとき僕はチームメートへ『俺たちが今必要なのはスキルじゃない。もうシュートを決めるっていう気持ちだけが必要なんだよ、お前の心が必要なんだ』と言って、全員で鼓舞して試合に戻っていったんです。そこから、あの連続 2 ポイントが生れました。みんな、僕がかけた言葉に対して『そうだ!』みたいに、目がギラギラしてエナジーを出してくれたんです。特に (斉藤) 諒馬は真っ先に反応してくれましたね。逆に言えば、よくあそこまで無理な 1対1 などをせずに、チームで積み上げて追いついたと思います。我慢して、みんなが信頼し合った結果だと思いますね」
(UTSUNOMIYA BREX #11 齊藤洋介)
UTSUNOMIYA BREX の 3 連覇は、第 1 回大会から第 3 回大会の RBC 東京が打ち立てた大会史に並ぶ結果となりました。さらに、この優勝によって 3×3 クラブ世界 No.1 を決めるツアー大会のひとつ「2024 FIBA ワールドツアーマスターズ アジア・オセアニア大陸予選大会」の出場権も獲得。4 月から始まる 3×3 の新シーズンに向けて弾みをつけました。
(男子優勝:UTSUNOMIYA BREX)
これで当協会が主催する今季 (2023年度シーズン) の主要大会は終了となりますが、これから世界に羽ばたく選手、チームにぜひ今後もご期待ください。
■大会最終結果
<男子>
優勝:UTSUNOMIYA BREX (栃木) ※3 大会連続 3 回目
2 位:ALPHAS (埼玉)
[個人賞]
MVP:テオドール・アタナソフ (UTSUNOMIYA BREX #21) ※初受賞
・男子優勝チームには「2024 FIBA ワールドツアーマスターズ アジア・オセアニア大陸予選大会」 の出場権を付与
<女子>
優勝:boldiiies (千葉) ※初優勝
2 位:YOKOHAMA GFLOW (神奈川)
[個人賞]
MVP: 浅羽 麻子 (あさば・あさこ / boldiiies #3) ※初受賞
<男女の試合結果(FINAL)>
こちらから>> https://3x3japanchampionships2024.japanbasketball.jp/schedule-fin/
○PDF版はこちらから>> 3x3JCH2024_Tournament